店の入り口の脇に、生のカボチャをくりぬいて作ったランタンがあったから気になっていた。一番奥のいつものテーブルに着くと、ちょこんと置いてあるポップが目に止まり、 『トリック・オア・トリート』――オーダーを伺いに来たときに言ってみてください。 ……ったく、あのオヤジは。 艶やかな焦げ茶色のカウンターの向こうにいる男を横目で睨む。このカフェのオーナー、奨だ。アラフォー間違いなしでいながら、今日も相変わらずのフェロモン垂れ流しで、圭太の剣呑な視線にも余裕の笑みを返してくる。 余計なことしてくれやがって! 目で言ってやった。しかしコーヒーを注ぐ片手間に苦笑して肩をすくめられ、いっそうイラッとする。 いくら今日がハロウィンでも、こんなイベントは圭太には迷惑だ。なにしろ、接客は主に康平で、奨は康平の手が回らなくなったときしかカウンターから出てこない。 いちいち客と『トリック・オア・トリート』って康平にやれって? マジ、ここのバイト辞めてほしいよ……。 たまらずに溜め息が出て頬杖をついた。 奨が経営するカフェ『ファレノプシス』は駅前の商店街からはずれて住宅地との境にある。公園の隣で、床も壁もテーブルも椅子も焦げ茶色の木で統一されたアンティークな内装で、ゆったりくつろげる落ち着いた雰囲気ではあるが、繁盛している理由はそれだけではない。奨をはじめとして、店員がイケメンぞろいだからだ。 今も、日曜日の午前中だというのに、半分はテーブルが埋まっている。ハロウィンだからか、普段よりひとりの客が多いが、普段と変わらずほとんどが若い女性だ。本や雑誌を読んだり、ケータイをいじったりしながら、のんびりと楽しんで過ごして見える。 奨さん人気なんだろうけど、わかんねーよなー……。 メニューは、飲み物ならコーヒー紅茶から抹茶ラテまでそろっているが、ケーキは数種類、食事はモーニング一種類にランチ二種類で、お世辞にも充実しているとは言えない。しかも、午前十時から午後七時までの営業だ。 だからバイトまでイケメンそろえたって? まったくもって、迷惑な話だ。やっと康平と思いが通じ、晴れて幼馴染みの親友から恋人に昇格できたものの、いまだここでバイトして女性の視線を浴びていると思うと、おもしろくない。 それに、ここには女性客よりも気に食わないヤツが頻繁に来る。奨の甥とかいう、高校生の律だ。 あいつ、ゼッテー康平に気があるよな。 初めて見たときから、あからさまに康平にデレデレして、康平が律をどう思っていようと油断ならない相手だ。 ……はぁ。 窓の外に公園を眺め、また溜め息が出る。秋晴れの空が目にまぶしい。いつもの日曜日なら駆け回る子どもたちやキャッチボールをする親子でにぎわっているのに、今は犬の散歩をする人と、遊具のあたりに子どもが数人見えるだけだ。 みんな出かけるよなー。こんな天気いいんだし、ハロウィンだし。 「ったく、今日も来たのかよ」 呆れたような小声を耳にし、ムスッと顔を向けた。水の入ったグラスを康平がテーブルに置く。 「おせーよ。客から文句出るぞ」 わざと言ってやるが、笑みで頬が強張った。 くっそぉ……やっぱ、カッコいい。 長身で体格がよく、きりっとした顔立ちの康平は普段からカッコいいが、白いシャツに黒のギャルソンエプロン姿だと、精悍な上に清楚な印象になるのだから困る。 「おまえだからだろ。普通の客にはすぐ出してるって。余計なこと言ってないで、何にする? またカフェラテ?」 ぞんざいに言われ、またムッと眉が寄った。 「……モーニング」 「珍しいな」 「起きたら俺ひとりだったんだよっ」 「ああ、今日は町内会の手伝いとかで、うちの母親も朝から出かけてたな。天気いいんだし、おまえもここに来てないで遊びに行けばいいのに」 「は?」 誰のせいだと言いたくなる。むしろ、誰と出かけろと言うのか。 「だったら、バイトなんか入れんなよなっ」 小声になって吐き捨てた。奨がニヤニヤとこちらを見ている。 「しょうがないだろ、ほかに人いなかったんだし。で、飲み物は?」 「コーヒーでいいよ」 口をとがらせて答えた。モーニングは紅茶かコーヒーで、紅茶はあまり好きでないことは康平も知っているのに訊くのだから。 つか、また誰かの代わりでバイトかよ。お人よしすぎだろ。 「で?」 いつもならオーダーが済めば逃げるように去るのに、重ねて康平は訊いてくる。 「で、って何」 「それ」 テーブルの上の忌々しいポップを指した。 「それ言ったら、今日はカボチャのクッキーがサービスでつきます」 マニュアルを読み上げるように聞かされ、思わずジトッと康平を睨みつけた。 「誰が言うかよ、こんなの。つか、いちいち客に教えてるわけ?」 「仕事だからな。て言うか、だから今日は来なくてよかったのに。マジ、もう来るな」 「だって――」 「はいはい、んじゃモーニング、コーヒーで」 やっぱり逃げるようにテーブルから離れた。奨の前まで行って、オーダーを告げるとすぐに、客が帰ったテーブルを片づけ始める。 ……だって。 言いかけて言えなかった続きを飲み込んだ胸が痛い。だって自分の知らないうちに康平を誰かに横取りされそうで怖いんだ――長い片思い期間に根づいてしまった思いは、恋人になれた今も心の底に巣食っている。それは康平も気づいていて、だからなおさら絶対に口にしてはいけないことだった。 『そんなに俺は信用できないかよ。もっと俺を信じてくれてもいいんじゃないか』 やっと思いが通じ合ったときに、はっきり言われてしまったのだ。口には出さなかったけれど康平も以前から自分を好きでいてくれて、それは思い返してみれば態度から十分に伝わっていたのに、自分の不安な気持ちが素直に受け止めていなかった。 だって……やっぱ、もっと好きって言ってほしいじゃん――。 恋人になれた今も、康平は言葉で気持ちを伝えようとしない。恋人になれたことは確かなのだから、いまだ不安を抱えている自分のほうがいけないのかもしれない。 なまじ小学生のときからのつきあいだから、いつ康平にカノジョがいたかも、どんなふうにつきあい始めたかも、どんなふうに別れたかも全部知っている。それが不安をかき立ててしまうのだ。 これまで康平には、自分の知らないうちにカノジョができていた。それも、自分ともわりと親しい女子ばかりだった。 康平とは、中学も高校も一緒で、今は大学も一緒だ。そのため、どのときも共通の友人は多く、男女取り交ぜてグループで遊ぶこともよくあって、康平のカノジョになる女子は、必ずその中のひとりだった。 しかし康平が言うには、どの女子もカノジョだったつもりはなく、買い物につきあってくれだの映画を見に行こうだの、誘われて断る理由がないから応じていたにすぎないとなる。 だが特定の女子と何度もそういうことを重ねれば、はたから見て立派にカノジョだ。女子のほうもカノジョと思い込む。 ……悪気がないから余計に罪作りだって、ぜんぜん気づかないんだもんなー。 そのへんの鈍感さは、恋人になる前から嫌というほど思い知らされた。カノジョより自分との約束を康平は優先してきたから、何度とばっちりを受けたか知れない。 問題なのは、その調子でカフェの常連客に誘われても断らないんじゃないかと思えることだ。奨のカフェに来る女性客は、おおよそ二十代の社会人に見える。つまり、これまで康平のカノジョだったどの女子よりも恋愛経験が豊富そうで、本気でかかられたら鈍感な康平でも落ちそうで心配でならない。 ――なんて。だから信じてないって康平に言われちゃうんだけど。 はぁっと、また溜め息が出た。いつになれば不安を忘れられるのかと思ってしまう。 「トリック・オア・トリート」 よく通る女性の声が聞こえ、ギクッとした。 「トリート。サービスのカボチャのクッキーです。よかったら召し上がってください」 にっこりと最高の笑顔を客に見せる康平が目に入り、さらに溜め息が出る。本当のところ、バイトだろうが何だろうが、自分以外の誰かに康平が笑いかけることにさえ妬けてならない。 信じるとか、も、そーいう問題じゃねーんだって、いいかげん気づけよ。 毒づきたくもなる。だが康平にぶつければ、だったら店に来るなと一蹴されてしまう。 はー、せつねー。 カラン、と店の入り口のドアについたベルが鳴った。なんとなく目が行き、ゲッと声が出そうになった。よりによって、律だ。 あのクソガキ……日曜なんだから、遊びに行けよ! 今日はハロウィンだぞ! どこかで誰かに言われたセリフをそのまま突きつけたくなる。 「おはよー」 大声というほどでもなく言って、律はカウンターに向かった。 「今年もやってんだね、ハロウィン」 ニコニコと奨に向かって言うと、隅に寄せてあったハイスツールをさっそく引っ張ってくる。毎度のことで、律はひとりで来たときはテーブルに着かず、こうしてカウンターに陣取る。 「――あ」 ハイスツールによじ登ろうとして圭太と目が合い、途端にツンと顎をそらした。圭太も負けまいと、フンと顔を背ける。 ――最悪。 視界の端に、明らかにおもしろがって笑う奨が映った。康平を横目で探せばレジにいる。 「どうした、日曜なのに来て。姉さんにまた叱られるぞ」 圭太のいるテーブルからカウンターは近いから、ふたりの会話は筒抜けだ。 「べつにー。何も怒られるようなことしてないし、塾にはちゃんと行ってるし」 「暇なら手伝え」 「無理。今日はここで待ち合わせ」 「そういうことに使うなよ」 奨が溜め息交じりに言うのに、ククッと律は笑う。 「ねえ、見て。カットしてカラーしたばかり。いい感じでしょ?」 「高校生が髪染めてんじゃない」 「髪染めるとか言う? 昭和〜」 「うるさくするなら追い出すぞ」 「うるさくないでしょ、声小さいし」 「仕事の邪魔するな」 「冷たいんだからー」 聞きようによっては痴話喧嘩だ。ケッと圭太は吐き捨てたくなる。 「康平さーん」 また今日も甘ったれた声が耳についた。奨がカウンターに出したアイスラテとコーヒーを康平はトレイに乗せていくが、律はまったく構わない様子で話しかける。 「ぼくにも、お水ちょうだいね」 「こら。おまえはセルフサービスだ」 奨は言うが、康平は笑って答える。 「ちょっと待ってて」 これだからー……。 律になんて笑いかけないでほしい。今日は特に嫌な予感がする。 しかし康平は、戻ってきて律に水を出した。待ち構えていたように律が言う。 「トリック・オア・トリート」 思いきり笑顔だ。蕩けそうな、甘ったるい笑顔。 あ、の、クソガキ〜。 歯ぎしりもしたくなる。不本意ながら、律のあの笑顔は、自分が見てもドキッとするほどかわいい。 「トリート」 康平も笑顔で返す。カウンターにあった、カボチャのクッキーの入った容器を律の前に引き寄せた。 「ありがとー」 パァッと笑顔を輝かせ、律はひとつつまんで口に入れる。 「うーん、おいしい。うちのママの味」 「あたりまえだ、おまえの母さんが作ったんだから。わかってて、わざわざ言うな」 「えー、いいじゃん」 「そうなんですか?」 康平が意外そうに口を出した。 「マジそうだよ。食べてみる?」 「え――」 軽く引いた康平に、奨まで勧めてくる。 「そう言えば、康平は味見してなかったな。いいぞ、ひとつ食べな」 そう言って、チラッとこちらに目を向けた。口元で薄く笑う。 ――え。 奨は、自分が康平と幼馴染みで親友なことは最初から知っている。その上、どうも最近は、特別な仲になったことにも気づいたようだ。とは言え、何かとからかうような目を向けてくるのは以前からで、それは康平がバイトのときは必ずと言っていいほどここに来るからだが、今の眼差しは何か違う。 「じゃあ、康平さん、言って。『トリック・オア・トリート』って、ぼくに」 「はい?」 「じゃないと、味見できないよ」 ちょ、ふざけてんじゃねーぞ! 一瞬、椅子を蹴って立ち上がりそうになった。無理にも我慢して衝動をこらえられたのは、ひとえに康平に叱られたくないからだ。 「えー、マジですか?」 律へというより、奨へ康平は訊き返す。 「マジです」 だが律が答えて奨は笑っているだけだ。 「じゃあ……」 言うな! 絶対に言うんじゃねぇ! 心の中で圭太は叫ぶが、非情にも康平の声が耳に届く。 「トリック・オア・トリート」 「はい、トリート」 あ、あ、あ、あのガキ! 予測はできた。確かにできた。だが自分にできても、康平は鈍感だからできないのだ。 律の手でカボチャのクッキーを唇に押しつけられ、少しはギョッとしたように見えたが、すぐに口を開けた。 「あーん……おいしい?」 もぐもぐと食べながら、康平は浅くうなずいて返す。 「しつこくない甘さでサクッとして、やさしい味です。おいしい」 飲み込んで、奨にそう言った。 なんでー……。 圭太はがっくりと肩が落ちる。俺を信じろと自分に言っておきながら、どうして康平は自分の目の前でそうことができるのか。 ありえないだろ、フツー。 もしかして自分の価値観のほうが普通じゃないのか。そんなことはないだろう。 まさか、わざとやってんのかよっ。 自分を嫉妬させるために。万一にもそうなら、強烈びっくりだ。そんなことをして康平が得するなんて、何もない。 ……無駄なケンカするだけだって。 「はい、圭太くんのモーニング」 奨の声が聞こえたが、テーブルに突っ伏して圭太は顔を上げる気にもなれない。 もう、これまで何度も康平に言われたとおりに、ここに来るのはやめよう。康平がどんな笑顔を客に向けようと、いちゃいちゃしているとしか見えない行動を取ろうと、目に触れないなら精神衛生上いいに違いない。 「圭太。できたぞ」 頭上に康平の声がやさしく降ってきたが、テーブルに突っ伏したままだった。前髪の隙間から、外の公園が目に映る。 ……天気いいなあ。 康平と出かけたかった。なぜ康平はバイトなんだろう。なぜ自分はここにいるんだろう。 「拗ねるなって。冷めたらトースト硬くなっちゃうぞ。コーヒーもまずくなるし」 「……いい。食べる気になったら食べる」 口ではそう言うが、きゅうと腹が鳴った。鼻先に置かれたプレートからいい匂いがする。 「ったく、しょうがないな」 小さく息をつき、康平が離れたとわかった。だが、戻ってくる。 「ほら。トリック・オア・トリート。……トリートって言えよ」 「フンッ!」 律と同じことをさせてもらったところで、少しもおもしろくない。 「トリック」 だから、そう答えた。 「――え」 康平が怪訝そうに声を漏らす。 「トリック!」 何度も言わせるなと、暗に含めて言い返した。 「……ふーん」 康平はつぶやく。呆れてつまらなそうに。 「俺にいたずらされたいんだ?」 「えっ!」 ガバッと上半身を跳ね上げた目の先に康平の顔があった。まただ、と思った瞬間には唇を掠め取られていた。カーッと、顔が熱くなる。 や、や、ヤバイだろっ! 声には出せなくて口をパクパクさせるが、康平はどこ吹く風だ。 ちょうど康平の体がスクリーンになって、奨にも律にも、誰にも見られなかったと思うが、ここが人のたくさんいるカフェなことに違いはない。そもそも康平はバイト中だ。 「もっといたずらするぞ」 なのに、しれっとそんなことを言ってくる。 「こ、ここで……?」 「ここじゃなきゃ、圭太には意味ないだろ」 その理由がよくわかって、バクンと心臓が鳴った。駆け出して、とんでもなくドキドキする。 「け、けどバイト中」 「おまえに言われたくねーよ。わかってて、俺を見張りに来るのは誰だよ」 「見張るなんて……」 言われてもしょうがない。誰かに横取りされるんじゃないかと、心配で来るのだから。 「――ごめん。信じてるから」 消え入りそうに言って、顔を伏せた。康平に謝ったのもあるが、火照った顔を誰にも見られたくない。見ていいのは康平だけだ。 「うん――やっぱ、素直なほうがかわいい。……好きだよ」 耳元で低く甘いささやきがして、目の前にモーニングのプレートが引き寄せられた。温かい吐息が耳朶をなぶり、ぴちゃっと濡れた音が大きく聞こえた。舐められたとわかり、その感触にもゾクッと背筋が震えた。なにより、この場で好きとはっきり言われた歓びが大きい。 「もっと……もっと、いたずらして!」 あまりのうれしさから、つい声に出して言ってしまい、ハッと口をつぐむが、ほぼ同時に上がった律の声のほうが大きかった。 「あーっ!」 店中の客の視線が、何ごとかと律に集まる。 「こら、大きな声出すな――申し訳ありません、お騒がせしました」 律を叱り、奨は客に謝る。 「だって、約束してたのに来られなくなったって、今メールが――」 「だってじゃないだろっ」 律が開いていたケータイをひったくり、カウンターの陰に隠した。 「あ……っ」 「また大声出したら絶対に返さないからな」 「えー……」 「返してほしかったら働け。暇になったんだろ。ハロウィン大好きなんだから、ちょうどいいじゃないか。康平――おまえはもう帰れ」 「え、俺ですか?」 「えー……康平さん、帰っちゃうの? ぼくが代わり?」 「もともとイベントは手伝う約束じゃなかったか?」 もしかして康平、また律の代わりだったわけ? 目を丸くする圭太の前に、奨がカウンターから出てきた。小声で康平に言う。 「今日はもう仕事にならないだろう?」 カッと康平の頬が赤く染まった。圭太は、いっそう目が丸くなる。 康平――。 ここまで康平が照れた顔を見るのは、もしかして初めてだ。 「――すみません」 「圭太くんも、温かいうちに食べて帰ってね」 釘を刺すように言い残して奨はカウンターに戻る。康平が、頬を染めたまま横目で睨んできた。 「ぼくと奨さんだけー? 康平さんいないのに働くのー?」 律の不服そうな声が聞こえ、圭太は気まずい思いでいっぱいだが、康平と目を合わせて離せない。 ものすごくドキドキする。こんなことになって康平には悪いが、悔しそうに睨んでこられても照れまくっているようにしか見えない。 「えっと、……ごめん?」 疑問形でつい謝るが、口元はゆるみっぱなしだ。康平は気を取り直したように表情を整え、だけどまだ淡く染まった頬で言った。 「いいよ、もっと、いっぱい、いたずらしてやる」 「うん――」 逃げるように去る康平を見送り、モーニングを急いで平らげようと食べ始める。トーストと、カリカリのベーコンと、スクランブルエッグと、ミニサラダ。はじっこに、ちょこんと乗ったカボチャのクッキーに目が止まり、思わず笑みがこぼれた。 トリック・オア・トリート。自分のほうこそ、康平にいたずらをしたみたいだ。このあと何をされるのか――何をされても、きっとうれしくてならないに決まっていた。 おわり ◆作品一覧に戻る |
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